はじめに

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    相手の真意を理解することはコミュニケーションの基本です。本記事では、プロの研修講師が教える相手の真意を掴むための3つの方法について解説します。

    コミュニケーションにおいて相手の真意を理解することは、円滑な人間関係を築くために不可欠です。しかし、相手の本当の気持ちや考えを理解することは簡単なことではありません。言葉だけでなく、相手の非言語的なサインや心理状態を読み取る必要があります。また、相手の立場や視点を理解することも重要です。次のセクションでは、相手の真意を掴むための具体的な方法について詳しく説明していきます。

    1.非言語情報を掴む

    イメージの具体化

    コミュニケーションにおいて、相手の言葉だけでなく、非言語的なサインも重要な情報源です。相手のボディランゲージや表情、声のトーンなどから、彼らの本当の気持ちや意図を読み取ることができます。時には、非言語情報は言葉以上に本音を物語ることがあります。

    非言語的なサインを見逃さないためには、以下のポイントに注意することが重要です。

    ボディランゲージを注意深く観察する

    相手の姿勢、手の動き、目線の動きなど、ボディランゲージからは多くの情報が得られます。たとえば、相手が話を聞くときに体を前に傾けている場合は、興味を持っているサインかもしれません。一方で、体を後ろに引いている場合は、興味が薄れている可能性があります。

    表情を読み取る

    人間の表情は感情や意図を表す重要な手がかりです。笑顔や眉の動き、目の輝きなどから、相手の気持ちを読み取ることができます。たとえば、相手が緊張している場合は、顔の筋肉が引き締まっていることがあります。また、不快そうな表情をしている場合は、何かに不満を感じている可能性があります。

    声のトーンやリズムに注意する

    声のトーンやリズムも重要な非言語的なサインの一つです。相手の声のトーンが高い場合は興奮しているかもしれませんし、低い場合は落ち着いているかもしれません。また、声のリズムが速い場合は緊張しているかもしれませんし、遅い場合はリラックスしているかもしれません。

    非言語情報を読み取ることが出来れば、その内容に合わせて会話を進めていきましょう。もっとも会話の相手が萎えてしまうのは、話し手が自分の都合の話ばかりをしていて、会話が成立していない状況です。
    相手が難しそうな表情をしているときは、『何か気になる点はございますか?』と相手を気遣って話を進めていきましょう。

    2. アクティブリスニングの重要性

    面談

    コミュニケーションにおいて、相手の真意を理解するための重要なスキルの一つが「アクティブリスニング」です。アクティブリスニングとは、相手の話に注意を集中し、理解しようとする姿勢を持つことです。相手の言葉だけでなく、その背後にあるメッセージや感情を理解するための重要なスキルです。ただ聞くのではなく、相手の言葉や声のトーン、表情やボディランゲージなど、全ての情報を注意深く捉えることが求められます。アクティブリスニングによって、相手が何を伝えたいのかをより正確に把握し、効果的なコミュニケーションを築くことができます。

    アクティブリスニングの技術

    アクティブリスニングを実践するためには、以下のテクニックが役立ちます。

    フィードバックの提供

    相手の話を聞いた後、その内容を要約し、理解したことを確認することで、相手の理解度を確認することができます。どれだけ長い話であっても、話のポイントは限定的です。注意深く話を聴くことで、要するに何が言いたいのか見えてきます。相手に上手な伝え方を求めるのではなく、聴き手である私たちが注意深く聴くことで、相手の言っていることを整理していきます。

    質問をする

    相手の話に興味を持ち、理解を深めるために質問をすることが重要です。この質問がなかなか出来ない人たちが多いです。

    質問する際のポイントを見ていきます。

    1. 基本は5W1Hで聴き、不明確な部分を明確にするために質問する
    2. クローズド質問→オープン質問に展開する。
      相手が明確に答えられる質問(クローズ)をまず発信します。その後、相手に自由に答えて頂く質問(オープン)を発信します。
      ■例
      どこか出張に行かれていたのですか?→(はい)→
      出張に行かれてどのような収穫がありましたか?(〇〇が〇〇で~)
    3. テーマを取り巻く要素を分解し、その各要素に対して掘り下げの質問を展開する。
      これは質問力としてはもっとも高次元のものです。全体を要素に分解する思考力を強化する必要性があるので、相当な訓練が必要です。聴き上手や伝え上手の人たちは、全体から部分に落とし込む思考の流れができています。そのため、分かりやすく物事を捉え、また、伝えることができます。
      別の能力も必要です。考え方に論理性を持たせることです。そのための訓練も必要です。これは、深掘り質問をする際に使用します。

      「それはなぜか」「本当にそうか」「だから何なのか」

      相手に質問をすることでその回答が返ってきます。その際に上記のようにさらに問いかけていきます。

      ① 全体を要素に分解する力
      ② 筋道を立てて情報を整理する力(論理性)

      こういった内容が質問力強化には必要ですね。

    感情を共有する

    相手の感情に共感し、理解を示すことで、より深い信頼関係を築くことができます。相手の感情に対して理解を示し、共感することで、より良いコミュニケーションが可能になります。
    但し、共感したフリや軽い共感は絶対にNGですので、本気で共感していきましょう。

    共感したフリ:「あー、分かります分かります。」
    軽い共感:「そうですね、分かります。」

    上記のような真剣に共感するつもりがない相づちは、相手との距離が逆に開いてしまいます。

    共感する際は、相手の話の何について、なぜ共感できるのか、この点を明らかにして共感を示していきましょう。

    「あなたの話の〇〇については、私も数年前の〇〇の状況で同じ経験をしました。だからとてもよくそのお気持ちが分かります」

    3.エンパシーを持って聴く

    チームワーク

    エンパシーとは自分とは異なる価値観に遭遇した際に、相手の考えていることや感じていることを想像する能力を指します。シンパシーは相手に同情する、憐れむという意味合いであり、ネガティブなニュアンスです。エンパシーは道場などの節はなく、相手の価値観をもって相手の心情を想像しようとすることであり、ポジティブなニュアンスです。

    エンパシーの重要性

    アクティブリスニングの『感情を共有する』と同じお話ですが、エンパシーはそもそもの対話当事者としての姿勢にかかる要素です。この要素をもっていないのであれば、いくら感情共有しようと思っても、どこかで自分の価値観が先行してしまい、真に相手の話を受け入れることは出来ないでしょう。

    そのため、エンパシーをもつことはとても重要であり、それをもつためにどうするべきかを考えていくことが大事ですね。

    エンパシーをもつためには

    自分の価値観を置いておき、相手のことだけを考える

    自分を無にします。自分が何をどう捉えるか、そういったことは一切排除していきます。自己主張を良しとするこの時代において、これほど難しい取り組みはないかもしれません。相手の価値観を自分の中に取り入れ、相手と同じような心情をもつようにします。そのため、必要な情報を相手にたずね、収集し、相手の価値観と心情を自分のなかに落とし込みます。

    昨今、これと同じような話として、自身のなかにアンコンシャスバイアスの存在(無意識の思い込み、偏見)を疑い、先入観や偏見を持たずに相手を受け入れるということが度々話に上がります。結局、色眼鏡で人をみて、話を聞いている限り、相手の心は開かないということです。

    エンパシーをもつための訓練をする

    とにかく、訓練としてたくさん他者と対話をしてみましょう。

    その際に、自身の価値観を通して他者の話を聞いているケースが最初は多くみられるはずです。しかし、訓練の中で自分を無にして相手の立場で話を聞くことを繰り返していると、次第に自分をコントロールすることができるようになります。どれだけ訓練しても、多くの人たちは話を聞く際に自分の価値観が前に出てくるものです。それを無理に止めようとしてもうまくいきません。

    大事なことは自分のコントロールすることです。

    自分の価値観が前に出たとき、それを後ろに下げるような訓練をしていきます。

    慣れてくれば、このような自己コントロールが無理なくできるようになります。1回や2回、研修で訓練したところで意味を成しません。日々の対話において、意識し、実践していきましょう。

    まとめ

    リレーション構築力

    相手の真意を掴むことは、自分自身を磨くことそのものです。

    人望のある人々は、自分の価値観を後ろに置き、真っすぐに相手の話を聴くことができます。さらに、質問力を効果的に活用することで、相手さえ気付いていない相手自身の真意を組み立てることができます。

    ただし、一朝一夕でそれらを実現することは不可能でしょう。

    日々において、いかにして自分と相手を大切にする姿勢を出すことができるか、この点がとても重要なことだと考えます。