リーダーが部下に対して成長を促すためには、適切なフィードバックが必要です。この記事では、管理者育成の専門家が効果的なフィードバックの方法について解説します。組織人員のモチベーションを高め、組織全体の生産性を向上させるために、ぜひ活用してみてください。

    1.フィードバックの重要性

    イメージの具体化

    部下の成長に与える影響

    適切なフィードバックは、部下の成長に大きな影響を与えます。事実に基づく具体的な成果や行動に対してフィードバックを受けることで、部下は自分の強みや改善すべき点を客観的な視点で把握し、成長することができます。また、フィードバックを通じて、部下は自分の行動や成果がチーム全体ひいては組織全体の目標達成にどのように貢献しているのか理解することができ、モチベーションが高まります。さらに、定期的にフィードバックを受けることで、部下は自己評価を行い、自己成長を実現するための具体的な行動計画を立てることができます。部下の成長は、組織全体の成果に直結し、競争力の強化や組織の持続的な発展に貢献します。

    2.効果的なフィードバックを行うために

    指導風景

    (1)フィードバックの準備

    事前準備

    効果的なフィードバックを行うためには、事前準備が重要です。次の点について、確実に準備をしていきます。

    ① 次のフィードバックにおける目的の明確化

    次のフィードバックで相手に何を伝えたいのか、そのことを伝えてどうしてほしいのか、どのような成果を期待しているのか、次回フィードバックの目的について明確にしておきます

    明確にした目的は、必ずフィードバック面談の冒頭に相手に伝えていきます

    ② 次のフィードバックの内容を具体化しておく

    だらだら話をしてしまうと、相手に伝わり切れない可能性があります。

    明瞭に事実に基づきフィードバックを行っていきます。

    そのため、フィードバックでは何の事実に対して話をしていくのか、題材となる事実情報を端的に5W1Hでまとめておきます。決して主観で話さないように、どこまでいっても事実情報がすべてのベースです。

    次に、その事実情報を受けて、褒める叱る、その他必要な要素を伝えていきます。

    褒める場合は、その事実があったことで、何がどのように素晴らしかったのか、具体的にして褒めていきます。また、今後さらに期待していることがあれば、その内容も伝えられるように準備しておきます。

    叱る場合には、1対1で、その出来事が発生した直後に、『事実→こちらの気持ち→今後の望ましい行動→相手の反応に対するこちらの考え』(DESC法)の流れで、冷静に伝えていきます。決して感情論で叱らないようにします。

    いずれにしても、限られた時間のなかで必要なフィードバックをするためには、事前準備が必要であることを認識しましょう。

    (2) 具体性を持たせる

    具体性

    フィードバックにはいくつかの種類があります。

    • ポジティブフィードバック→望ましかった行動とその結果を共有するフィードバックです。前向きな内容なので、褒められた相手の自己肯定感を高め、モチベーションの向上も期待できます。
    • ネガティブフィードバック→今後の課題を明らかにし、改善策を共有するフィードバックです。現状維持ではなく、さらにパフォーマンスを高めてほしいときに、相手を正しく指摘することで成長を促していきます。
    • コンストラクティブフィードバック→誤った行動に対して非批判的に指摘することで改善や成長を促す方法です。具体性や客観性にもとづいて「建設的」になされることが特徴です。
    • 360度フィードバック→上司以外にも同僚、部下、他部署など、セクションを超えて多くの人たちがお互いに対してフィードバックすることです。上司では気付けない点を伝え合うことができます。
    • インフォーマルフィードバック→組織規程上、実施が決まっている面談などでのフィードバックではなく、日々の動きの中で、随時行うフィードバックです。

    状況に応じて、最適な手法を選択することで、効果的に作用します。

    いずれの手法を取るにしても必要な要素があります。

    フィードバック内容に具体性(5W1Hで表現できる情報)を持たせることです。

    具体性を持たせるためには、事実情報を収集しておく必要がありますので、管理者が部下に対する日々の観察をしているか否か問われます。要は、小手先でフィードバックは出来ないということです。

    観察は管理者のマストの行動です。日頃から部下を観察し、そこから収集される事実情報をもとにマネジメントをしていきましょう。

    (3) 最適なタイミングでフィードバックする

    タイミング

    フィードバックするべき事象が発生した場合、どのタイミングでフィードバックを行うと効果的なのでしょうか。

    ① 事象発生後なるべく早く行う

    ポジティブ、ネガティブ、コンストラクティブフィードバックについては、事象発生後、直ちにフィードバックしていきます。本人も直近の出来事に対して言われれているので、認識度や納得度が高い状態で聞くことが可能です。

    ② 定期での実施

    ①が随時によるフィードバックであるなら、定期によるフィードバックもあります。

    これは、組織規程上定められているケースが多く、またはチーム内での取り決めとして行われます。確実に実施されるため、フィードバックにおける最低限の効果は期待できます。

    また、この定期フィードバックには、先に実施したフィードバック内容のフォローアップが含まれます。一度実施したフィードバックに対して、その後の相手の変化についてフォローしていく必要がありますね。前回のフィードバックから本日までに変化した相手の部分、さらに改善すべき部分、とても良くなった部分など、相手のパフォーマンスを上げていくためにも、フィードバックは継続的に行い、成長のPDCAを回していきます

    一方、定期フィードバックは実施から次の実施までの期間が開いています。その間にもフィードバックすべき事象は複数発生するでしょう。その際には、①による随時フィードバックを行い、部下の成長と双方の信頼関係構築を図っていきましょう。

    (4) フィードバックの例

    ケース

    ポジティブなフィードバックの例文

    • 「最近のプレゼンテーションは素晴らしかったですね。特に、具体的な事例を挙げて説明した点が印象的でした。」
    • 「昨日のプロジェクトの進捗報告、本当によくやってくれました。チーム全体のモチベーションを高めることができました。」

    コンストラクティブなフィードバックの例文

    • 「プレゼンテーションの内容は良かったですが、もう少し具体的な事例を挙げるともっと分かりやすくなると思います。」
    • 「次回の進捗報告では、もう少し時間配分を工夫してみてください。一部のポイントが少し短かすぎるように感じました。」

    3.まとめ

    後継者育成

    継続的に実施するフィードバックは部下の成長を促し、また、上司と部下の信頼関係を構築することにも繋がります。

    効果的にフィードバックを実施していくために、以下の点を再度確認しておきましょう。

    1. フィードバックには事前準備が必要である
    2. フィードバック内容には具体性を持たせる
    3. コトが起きたらすぐにフィードバックしていく

    意味のあるフィードバックを行い、チーム全体の業務の生産性を上げていきましょう。

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    serea-ishikawa
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