目次
1.はじめに
現代のビジネス環境では、部下の成長を促すことがチームの成功に不可欠です。しかし、部下の指導方法には様々なアプローチがあり、どのようにすれば最も効果的な指導ができるのか悩む上司も少なくありません。そこでこの記事では、部下指導におけるティーチングの実践に焦点を当て、成功への道を探ります。効果的なティーチングのポイントや実践方法を通じて、部下の成長を促すための具体的な手法をご紹介します。部下の能力を最大限に引き出し、チームのパフォーマンスを向上させるための指導法について学んでいきましょう。
2.なぜティーチングが重要なのか
(1) ティーチングとは何か
知識・経験、ノウハウなどを手取り足取り細かく教えることを指します。指導の始まりはこのティーチングからです。部下の成長にとって非常に大事な指導方法ですね。
(2) ティーチングの重要性
① 部下に業務の進め方を指導するため
当たり前の話ですが、まだ独りで業務を進めることが出来ない部下には、手取り足取り細かく分かるように指導する必要があります。
このプロセスは部下の能力や経験値に違いがあっても、最初に必ず指導工程です。
② 部下に自信を付けてもらうため
部下にとっては、自分が仕事を進めることが出来ていると感覚的に感じることで、自信をもつことができます。自信をもつことは部下の成長にとって絶対不可欠です。初めから難易度の高い仕事を振ったり、しっかりと指導してあげない状況があると、部下は自信が持てず、成長に必要なチャレンジ要素の強い業務に取り掛かろうとはしないでしょう。
③ チームの生産性向上に影響するため
部下にティーチングによる指導をしっかりと行うと、部下は様々な業務に対応することが出来るようになります。そして、上司自身の業務を部下に割り振ることができるようになり、上司は目標達成に大きく貢献する業務に時間を使うことができるようになります。その結果、チーム全体の生産性はあがっていきます。
3.ティーチング実践時のポイント
(1) 手取り足取り指導するための準備をする
ティーチングを実践する際には次の流れを取ります。
- 仕事の目的を明確に分かるように伝える(何が、どのような状態にするのか)
- 手順に分解してみる
- 上司がやって見せる
- やって見せた各手順ごとの進め方について、気を付けるポイントやリスクを踏まえて、細かく説明する
基本的にはこのような流れを取ります。
皆さんはこれらの流れを説明するにあたり、その場で考えてパッと説明できるでしょうか。例えば、手順ごとに気を付けるポイントは全部で何点ありますか?
そのように考えると難しいですね。
ティーチングを実践するためには、目的の明確化やポイントの整理など、伝えるための事前準備が必要なのです。部下に合わせて、ティーチングの計画(ティーチングプランの作成)を立てていきましょう。
(2) 重点課題に絞る
あれもこれもティーチングの事前準備ができるかというと、実際には難しいですね。そのため、部下に任せる重点課題に関係する作業のみ、ティーチングの事前準備を行っていきます。多くの業務を部下に任せたい気持ちは分かります。本人の成長のため、チームの生産性向上のため、上司としての意図があるでしょう。ただ、目標管理の考え方では、多くても3つ~5つです。それ以上になると、覚えることが多岐に渡りすぎ、すべてが中途半端になるでしょう。またそのような状況では部下をプレッシャーを感じやすく、メンタル面でも心配です。しっかりと的を絞って進めていきましょう。
(3) 随時および定期フィードバックを行う
手取り足取り教えるといっても、1回で実践できる部下は少ないでしょう。何度も同じように指導して、同じ動作を繰り返し行ってもらいましょう。その際には、何が出来ていて、何が改善点なのか、具体的にフィードバックしていきます。そうすることで、指導のPDCAが回り出し、部下本人は成長していきます。また、そのような上司に対して、信頼感がもてるようになります。
4.ティーチングのリスク
ティーチングにはリスクがあります。
ティーチングによる指導をし続けてしまうと、部下が『自ら考えることが出来ない指示待ち型人材になる』という点です。
部下としては、常に上司や先輩が手取り足取り指導してくれるので、自ら率先して考えて行動しようとはなかなか考えられません。
部下指導のゴールは部下の自立です。
そのため、ティーチング指導によりある程度業務を進められるようになった部下に対しては、自ら考えて行動させる指導(コーチング)にシフトしていきましょう。
5.まとめ
ティーチングは部下を成長させるとともに、自信をつけさせるためにも、重要な指導方法です。ティーチングを実践する際には事前準備が必要です。ティーチングプランを作成し、指導する側とされる側が無理のない範囲で、確実に理解できるように進めていくことが大事です。
一方で、ティーチングのリスクとして、指示待ち型人材の育成に繋がる点があります。そのため、ティーチングとコーチングを組み合わせ、最適な指導を行うことが必要です。
昨今、自信のもてない組織人員が増えてきている印象を受けます。出来ることしかせず、成長への意欲が低くなっている人員が多いです。
指導者は、まず部下に一つでもできることを増やしてあげられるように、ティーチングの正しい実践方法を理解し、実践してほしいと切に願います。