はじめに

    指導風景

    OJT(On-the-Job Training)トレーナーの役割と重要性について

    OJTトレーナーは、新たに業務を始める人員に対して指導し、育成する重要な役割を果たしています。OJTトレーナーは実務経験を通じた指導を行うことで従業員のスキルや知識を向上させ、組織全体の成果に貢献します。OJTトレーナーが適切に育成されることは、新人の導入や組織人員のスキルアップにおいて極めて重要です。

    本記事の目的と構成の紹介

    この記事では、OJTトレーナーの育成に焦点を当て、成功するための養成法や実践的なアプローチについて解説します。具体的には、OJTトレーナーに必要な特性や彼らを育成するためのプロセスについて詳しく説明します。また、実際のケーススタディやベストプラクティス(事例)を通じて、成功するOJTトレーナーの養成についてお伝えしていきます。OJTトレーナーの育成に向けて重要なポイントを探求していきましょう。

    成功するOJTトレーナーの特性

    指導員特性

    OJTトレーナーとして成功するためには、いくつかの重要な特性が必要です。以下では、それぞれの特性について詳しく説明します。

    1.優れたコミュニケーション能力

    OJTトレーナーにとって、コミュニケーション能力は非常に重要です。新人や若手チームメンバーと密接に連携し、業務の進め方や必要な知識技術の習得に向けた指導において、明確に指示やその他伝達すべきことを伝える必要があります。トレーナーとして最適な聴き方と伝え方を実践することで、新人や若手が確実に成長していくための支援を行ううとともに、それらの実践は指導する側される側の信頼関係を築き、効果的なトレーニング環境を確立していくことにも繋がります。

    2.メンタリングとコーチングスキル

    OJTトレーナーは、メンタリングやコーチングのスキルを持っていることが重要です。新人、若手に対して個別にアプローチする際、メンタリングとコーチングを通じて、トレーナーは新人、若手の強みや成長の機会を見つけ、成長へ向けて後方支援を担っていきます。メンタリングもコーチングも、共通項は相手の気付きを促すことです。もちろん最初は手取り足取り指導(ティーチング)を行い、業務の進め方、ポイント、留意点、リスクについて細かく教えていきます。しかし、それを続けていても、新人や若手はトレーナーがいるから仕事を進めることができるのであり、トレーナー不在では右往左往してしまいます。そのため、ある程度、新人が仕事を覚えてきたところで、手取り足取り教えることを止めます。そこからはトレーナーは新人に対して気付きを促すためのアプローチ(質問)を展開していきます。それがコーチングであり、メンタリングです。但し、メンタリングには目標達成のために行うなどの意図はなく、潜在意識を掘り起こしていくために行うものです。この点がコーチングとは明確に異なる点ですね。

    3.フィードバックの提供と受容能力

    OJTトレーナーは、フィードバックの提供と受容の能力を持っている必要があります。トレーナーは新人や若手のパフォーマンスを観察し、適切なフィードバックを提供することで成長を促進します。また、トレーナー自身も新人や若手からのフィードバックを受け入れ、指導者としての自身の改善点を見つけ、自己改善を行うことが重要です。指導する側される側の素直で建設的なフィードバックの文化を築くことで、チーム全体の成長を促進することができます。

    4.自己学習と成長意欲

    最後に、成功するOJTトレーナーは常に自己学習と成長の意欲を持っています。彼らは業界のトレンドやベストプラクティスを常に学び、自己のスキルを向上させる努力を惜しまない人々です。自己学習と成長の意欲を持つトレーナーは、チームや組織全体の競争力を高めるための重要な要素となります。

    OJTトレーナーの養成プロセス

    講師実績

    OJTトレーナーを育成するプロセスは、慎重に計画されて実施される必要があります。以下では、OJTトレーナーの養成プロセスについて、重要なポイントを説明します。

    1.トレーナー候補の選定と評価基準

    OJTトレーナー候補の選定は、トレーニングプログラムの成功に不可欠です。トレーナー候補者は、コミュニケーション能力や指導力などが求められます。組織として、トレーナーに求める役割行動とそれに紐づくスキルを体系化することにより、トレーナーとしての適性有無を判断する際の基準にすることができます。

    2.研修プログラムの設計とカスタマイズ

    次に、OJTトレーナーの養成プログラムを設計し、カスタマイズする必要があります。研修プログラムは、組織ニーズやトレーナー候補者のスキルレベルに合わせて調整される必要があります。通り一辺倒のプログラムではなく、カスタマイズされたプログラムは、トレーナーの成長を促進し、彼らが組織の目標を達成するうえで役立ちます。

    3.実践的なトレーニングセッションの実施

    実践的なトレーニングセッションは、OJTトレーナーの養成プロセスの中核を成します。リアルなシナリオやロールプレイを通じてシミュレーションを行うことで、トレーナーの自信を高め、実際のOJTに生かしていきます。

    4.フィードバックと評価サイクルの確立

    最後に、フィードバックと評価のサイクルを確立することが重要です。トレーナーは定期的なフィードバックを受け取り、自己評価を行うことで成長の機会を得ることができます。また、トレーナーのパフォーマンスを定期的に評価し、必要に応じてプログラムを調整することが重要です。一度だけOJT研修を行えば問題ないわけではなく、PDCAを前提とした継続した教育を実施することでトレーナーは段階的に成長していきます。このように、フィードバックと評価のサイクルの確立により、トレーナーの成長と継続的な向上が促進されます。

    実践的なアプローチとベストプラクティス

    管理者研修

    OJTトレーナーを育成するための実践的なアプローチとベストプラクティスについて、以下で詳しく説明します。

    1.実際のケーススタディと成功事例の紹介

    OJTトレーナー養成の成功事例を見てみましょう。企業Aでは、OJTトレーナー養成プログラムを導入し、組織人員の育成に注力しています。トレーナー育成プログラムでは、先に見たように、トレーナー候補が実際の業務環境で実践的なトレーニングを行い、フィードバックと評価のサイクルを通じて成長しています。このアプローチにより、新人の成長スピードが上がり、生産性が向上しています。

    また、企業Bでは、トレーナー養成プログラムにおいてメンタリングとコーチングのスキル習得に重点を置いています。トレーナー候補は、シニアトレーナーや管理職からのアドバイスや指導を受けながら、徐々に自己学習と成長の意欲を高めています。このプログラムの結果、組織人員のエンゲージメント(仕事へのやりがい)が向上し、新人・若手における離職率が低下しています。

    2.OJTトレーナー養成のためのベストプラクティスについての説明

    OJTトレーナーを成功させるための事例にはいくつかの要素があります。

    まず、トレーナー候補の選定には慎重に取り組み、彼らの適性と意欲を評価することが重要です。もちろん、組織によっては人員の数に限りがありますので、選定候補者自体が複数おらず、特定の人員が担うことが多くあるでしょう。その際にお考え頂きたいのは、指導する側が我流で思うままに指導すれば、大抵の場合、指導される側の若手・新人は潰れます。指導者としての準備が出来ていない人員に指導させることは、結果的に人事戦略上のコストを上げることに繋がり、また、組織の生産性低下で質の悪いサービスを顧客に提供してしまい、利益減少にさえ繋がりかねません。そのため、特定の人員しかいない場合であっても、その対象者に指導することの重要性を伝え、本人自身が自己成長を図り、OJTに組織全体で本気で臨む必要があるということです。

    次に、カスタマイズされたトレーニングプログラムを提供し、実践的なトレーニングセッションを通じてトレーナーのスキルを向上させます。また、フィードバックと評価のサイクルを確立し、継続的な改善を促進することも重要です。

    さらに、成功事例や失敗からの学びを共有し、トレーナー同士でノウハウを共有することも効果的です。最新のトレーニング手法やツールを導入し、トレーナーの能力向上を支援することも忘れてはいけません。これらのベストプラクティスを組織全体に浸透させることで、OJTトレーナーの育成プログラムの効果を最大化することができます。

    3.失敗からの学びと改善のプロセスについての説明

    OJTトレーナー養成プログラムの実施において、問題発生は避けられないものです。ですが、そのような発生した問題から何かを掴み、改善のプロセスを確立することが重要です。その原因を分析し、改善策を見つけるためのフィードバックループを確立します。さらに、失敗を恐れずにチャレンジし続けることで、トレーナーの成長と組織の発展を促進することができます。

    さいごに

    戦略

    1.成功するOJTトレーナーの育成に向けた最終的な考察

    OJTトレーナーの育成は、組織全体の生産性に直接影響を与える重要なプロセスです。本記事では、OJTトレーナーに必要な特性や養成プロセス、そして実践的なアプローチについて詳しく説明しました。トレーナーがコミュニケーション能力やメンタリングスキルを向上させ、自己学習と成長の意欲を持つことで、組織人員のスキルアップと成果に貢献することができます。

    2.組織への影響と成果についての総括

    OJTトレーナーの育成が成功すると、組織全体のエンゲージメントが向上し、組織人員のパフォーマンスが向上します。トレーナーが的確なフィードバックを提供し、効果的な指導を行うことで、新人の早期成長が実現され、生産性が向上します。さらに、トレーナーの育成は組織人員のモチベーションと組織の競争力を高め、持続可能な成長を実現するのに役立ちます。組織目的・目標の実現に向けて、OJTトレーナーの育成に積極的に取り組むことが重要です。

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    OJT

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    セレア株式会社
    石川将平