1.はじめに

    新任管理職の悩み

    新任管理職に訪れる戸惑い

    新任管理職になると、新しい職務や責任が待っていますが、同時に様々な課題や悩みも浮上してきます。管理職になるということは、以前とは異なる環境での仕事や、新しいチームとの関係性の構築など、多くの変化が伴います。このセクションでは、新任管理職が直面する課題について掘り下げていきます。

    2.新任管理職の課題とは

    管理者研修

    (1)新任管理職が直面する一般的な課題

    新任管理職として直面する一般的な課題の1つは、適切なリーダーシップスタイルの確立です。以前の役割とは異なり、新しいポジションでは部下やチームをリードし、方向性を示す必要があります。しかし、どのようなリーダーシップスタイルが最も効果的かを見極めることは容易ではありません。自分自身の強みやスタイルと、組織やチームのニーズを適切に統合する必要があります。

    さらに、新任管理職はチームや部門の期待に応えるために、スキルや能力の向上に努める必要があります。管理職としての新たな責任に対応するためには、リーダーシップ、コミュニケーション、問題解決能力など、様々なスキルが必要とされます。これらのスキルを向上させるためには、組織内研修や組織外研修への参加など、時間と労力が必要です。

    また、新任管理職にとってのもう一つの課題は、既存のチームや同僚との関係性の構築です。新しいポジションに移行すると、以前とは異なる立場になります。これにより、チーム内のダイナミクス(集団内の人々の相互作用と影響に関する考え方)や人間関係が変化する可能性があります。この課題を克服するためには、コミュニケーションや信頼の構築が必要です。

    (2)勤務環境の変化

    新任管理職になると、勤務環境が大きく変化することも一つの課題です。以前のポジションと比較して、新しい役割では業務内容や責任範囲が異なる場合があります。また、チームや部門の文化やルールも異なる場合があります。

    この勤務環境の変化により、新任管理職は様々な課題に直面します。例えば、新しい業務内容や責任範囲に慣れるまでに時間がかかることがあります。また、新しい文化やルールに適応する必要があります。これにより、ストレスや不安を感じることがあるかもしれません。

    勤務環境の変化に対処するためには、柔軟性適応力が必要です。新しい環境に早く適応するためには、積極的に情報収集を行い、周囲の人々とコミュニケーションを取ることが重要です。また、変化をポジティブなものと捉え、成長の機会と捉えることも大切です。

    以上のように、勤務環境の変化は新任管理職にとっての課題の一つですが、適切な対処法を取れば、スムーズに適応することができます。

    3.成長のためのアプローチ

    講師実績

    (1)自己認識と必要なスキル群の習得・向上

    新任管理職が成長するための第一歩は、自己認識と必要なスキル群の習得・向上です。自己認識を深めることで、自分の強みや弱み、価値観や目標を明確にすることが重要です。これにより、自身のリーダーシップスタイルやコミュニケーションスキルをより効果的に発揮することが可能になります。

    また、必要なスキル群の習得・向上も不可欠です。新任管理職は、リーダーシップ、コミュニケーション、問題解決能力など、多岐にわたるスキルを身に付ける必要があります。継続的な学習やトレーニングを通じて、これらのスキルを習得・向上させることが重要です。さらに、フィードバックを受け入れ、自己成長のために積極的に行動することも大切です。

    私が現場を見ていますと、このフィードバックの受け入れがほとんど出来ていないです。その背景として、やはりトップダウンの偏った捉え方があると考えます。上に立てば評価される立場ではなく、評価する側になると・・・。逆です。むしろ、以前より自身の所作が目立つ位置になり、周囲は気持ちの中で様々な評価をしているのです。
    上に立つ人ほど、周囲からチェックされています。何よりも、部下を成長させて、チームの生産性を向上させるためにも、周囲からのフィードバックに感謝して、受け入れ、管理者として改善していく動きが絶対不可欠です。

    自己認識とスキルセットの向上には、時間と労力が必要ですが、これらの努力は新任管理職の成長と成功に不可欠です。

    (2)チームビルディングとリーダーシップの発展

    成長するためのもう一つのアプローチは、チームビルディングとリーダーシップの発展です。新任管理職は、チームの結束を高め、メンバーのモチベーションやエンゲージメント(仕事へのやりがい)を促進することが求められます。

    チームビルディングには、コミュニケーションの改善、チームの目標設定、メンバー間の信頼構築などが含まれます。リーダーシップの発展には、ビジョンの共有、意思決定の促進、チームメンバーの成長とサポートなどが重要です。

    また、チームビルディングとリーダーシップの発展には、柔軟性と洞察力が必要です。新任管理職は、チームのニーズや個々のメンバーの要望に敏感に対応し、適切なリーダーシップアプローチを取ることが求められます。そのためにも、管理者は日頃から部下をあらゆる観点で観察し、部下を知ることが重要です。

    以上のように、自己認識と必要なスキル群の習得・向上、そしてチームビルディングとリーダーシップの発展は、新任管理職が成長するための重要なアプローチです。これらのアプローチをバランスよく取り入れることで、成長と成功への道を切り拓くことができます。

    4.挑戦を克服する方法

    指導風景

    (1)ストレス管理とワークライフバランス

    新任管理職には様々なプレッシャーや責任が伴います。そのため、ストレス管理とワークライフバランスを保つことは非常に重要です。ストレスが過度に溜まると、仕事のパフォーマンスや健康に悪影響を与える可能性があります。

    ストレス管理の方法としては、まず仕事の優先順位を設定し、タスクを適切に分散することが挙げられます。また、適度な運動や趣味を楽しむこともストレスを軽減する助けになります。さらに、リラックス法やマインドフルネスなどのストレス軽減のテクニックを活用することも有効です。

    ワークライフバランスを保つためには、仕事とプライベートの時間を明確に区別し、十分な休息とリフレッシュの時間を確保することが重要です。定期または特別な休暇を活用し、仕事から離れてリラックスすることで、ストレスを軽減し、心身の健康を維持することができます。

    (2)コミュニケーションスキルの向上

    新任管理職にとって、効果的なコミュニケーションを行うことは極めて重要です。良好なコミュニケーションはチームの信頼や協力関係を築き、問題解決や業務効率の向上に貢献します。

    コミュニケーションスキルを向上させるためには、まず相手を理解しようとする姿勢が重要です。聴く力を養い、相手の意見や感情に耳を傾けることが重要です。管理者は聴く8割、伝える2割です。また、明確で適切なフィードバックを提供し、適切なタイミングでコミュニケーションを行うことも重要です。

    さらに、非言語コミュニケーションも重要です。身振りや表情、姿勢などの非言語的なサインを読み取り、部下の本音を掴み、適切な声掛けを行います。

    以上のように、ストレス管理とワークライフバランスの確保、そして効果的なコミュニケーションスキルの向上は、新任管理職が挑戦を克服し、成功を収めるために不可欠な要素です。これらの方法を積極的に取り入れることで、新任管理職はより効果的に業務を遂行し、成長していくことができます。

    5.成功への道筋

    カスタマイズ

    (1)目標設定と成果の評価

    ① 期首で行うこと

    成功するためには、まずはっきりとした目標を設定することが重要です。目標は具体的、測定可能、達成可能、リアルな期限を持つSMARTなものであることSMARTの法則が望ましいです。新任管理職は、自身のキャリアやチーム、組織の目標に基づいて、個人およびチームの目標を設定する必要があります。目標設定には、長期的なビジョンから短期的な目標への段階的な分解が効果的バックキャスティングです。また、目標達成のための行動計画やリソースの確保も重要です。これらに留意して、最適な目標を設定していきます。

    ② 期中で行うこと

    短い間隔でPDCAサイクルを回すことです。定期的な進捗確認や振り返りを通じて、目標の達成度を評価し、必要に応じて調整を行います。計画はその通りには進みません。まず、この前提で管理者は持ちましょう。計画通りにはいかないので、どのくらい計画と実績が乖離しているのか、また、その原因は何であり、どのような課題・対策を取れば遅れを取り戻し、同時に部下の成長促進に繋がるか、このように考えていきます。時間がないから出来ない、ではなく、ほんの10分~15分で良いので、『毎日』、部下の業務状況をチェックし、最適なフィードバックをしていくことがチームの生産性を向上させ、また、部下との信頼関係構築に繋がります。

    ③ 期末で行うこと

    プロセス、成果の評価は、目標達成度やパフォーマンスの評価を含みます。定量的な成果だけでなく、定性的な評価やフィードバックも重要です。部下はプロセス、成果の評価を通じて、自身の強みや改善点を把握し、次の成長に活かすことができます。同時に、管理者自身のパフォーマンスの評価も必要です。先に確認した管理者自身におけるフィードバックの受け入れですね。指導する側とされる側の両方が成長していくことで、チームの生産性は飛躍的に向上していきます。

    (2)継続的な学びと成長

    成功への道筋には、継続的な学びと成長が不可欠です。新任管理職は、常に自己成長を促進する態度を持つことが重要です。業界のトレンドやベストプラクティス(事例)に関する知識を継続的に更新し、新しいスキルや技術を習得することが求められます。

    継続的な学びと成長を実現するためには、様々な方法があります。例えば、セミナーや研修への参加専門書やオンラインコースの学習他の組織や業界からのベンチマーキング(事例分析を活用して業務効率向上を図る)などが挙げられます。また、メンターやコーチからのアドバイスやフィードバックを積極的に受け入れることも大切です。

    さらに、失敗から学ぶことも重要です。失敗は成長の機会であり、新たなアプローチや戦略を試みる機会でもあります。失敗を恐れず、挑戦を受け入れる姿勢が、継続的な学びと成長を支えます。そのため、失敗を受け入れる文化を組織がもっているかどうか、この点が本質的には問われます

    以上のように、目標設定と成果の評価、そして継続的な学びと成長は、成功への道筋を描く上で欠かせない要素です。これらの要素を組み合わせて実践することで、新任管理職は自己成長を促進し、成功への道を着実に歩んでいくことができます。

    6.結論

    さいごに

    新任管理職としての道は容易ではありませんが、挑戦を乗り越え、成長することは十分に可能です。成功への道筋を描くためには、自己認識と管理者に求められるスキル群の習得・向上、チームビルディングとリーダーシップの発展、ストレス管理とワークライフバランス、コミュニケーションスキルの向上、目標設定と成果の評価、継続的な学びと成長が重要です。

    これらの要素をバランスよく組み合わせ、意欲的に取り組むことで、新任管理職は成功を収めることができます。失敗や困難に直面しても、前向きな姿勢を持ち、経験から学び、改善していくことが重要です。自己成長とチームの発展を促進することで、より良い結果を達成し、組織全体の成功に貢献することができます。

    成功への道は決して一筋縄ではいかないかもしれませんが、目標を見据え、努力を続けることで、必ず到達できます。自分自身とチームに信じる力を持ち、一歩ずつ前進していきましょう。そうすれば、新任管理職としての挑戦も克服し、成長と成功への道を切り拓くことができるでしょう。

    セレアの『新任管理者研修』を受講してみませんか

    OJT

    セレアの階層別研修の一つ、『新任管理者研修』は文字通り、新任管理者に特化した研修構成になっております。

    全国の自治体様やあらゆる規模の民間企業様にて実施しております。
    管理者級の研修内容は難しくなりがちですが、セレアの研修では『分かりやすさ』を追究致します。そのため、安心して受講して頂きたいと考えます。

    また、受講者様には事前に新任管理者としての悩み、疑問、不安などを事前アンケートでお答えいただき、研修内で講師からフィードバックして参ります。
    講師の一方的な講義スタイルではなく、講師と受講者様の対話の場として研修を成り立たせ、研修終了後にはすべての受講者様が晴れ晴れとしたお気持ちで職場に戻って頂く。
    そのような研修を提供して参ります。

    ぜひ、当研修へのご参加を心よりお待ち申し上げております。

    セレア株式会社
    石川将平